研究課題/領域番号 |
16560670
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
迫原 修治 広島大学, 大学院・工学研究科, 教授 (80108232)
|
研究分担者 |
飯澤 孝司 広島大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (60130902)
後藤 健彦 広島大学, 大学院・工学研究科, 助手 (10274127)
徳山 英昭 広島大学, 大学院・工学研究科, 助手 (10363029)
|
キーワード | 酸化亜鉛 / ナノ粒子 / 蛍光 / 量子サイズ効果 / 両親媒性ゲル / N,N-ジメチルアクリルアミド |
研究概要 |
酸化亜鉛(ZnO)ナノ粒子は、粒子径によって蛍光が変化する。このような量子サイズ効果を示すナノ粒子の合成法として様々な方法が提案されているが、いずれの方法においてもナノ粒子は容易に成長あるいは凝集する。本研究では、三次元網目構造からなるゲルネットワークを反応場とすることで、生成したZnOナノ粒子の安定性の向上、およびゲルネットワークの有効細孔径の制御によるZnOナノ粒子の粒子径制御の可能性を検討した。 ゲルには透明性の高い両親媒性N,N-ジメチルアクリルアミドゲルを用いた。ゲルの合成は、通常のラジカル重合法でエタノール中、50℃で行い、厚さ2mmの板状ゲルを作製した。また、ゲルネットワークの有効細孔径は、種々の分子量のポリエチレングリコールを用いて、分子サイズと阻止率の関係を測定して評価した。ZnOナノ粒子の合成は、基本的には、酢酸亜鉛を出発物質として、エタノールと80℃で3時間反応させてプリカーサーを作製し、これを超音波洗浄器中で水酸化リチウムを触媒として加水分解する方法で行った。ゲル中での合成は、まず乾燥ゲルを用意し、これを所定濃度の酢酸亜鉛を含むエタノール中で膨潤させた。その後の手順は同様である。 ZnOコロイドは、比較的高温の50℃におくと、粒子径に対応する吸収スペクトルの立ち上がりの波長λonsetが1日経過後には長波長側に大きくシフトし、2日後には白濁して沈殿を生じた。これに対して、ゲル中のZnO粒子の吸収スペクトルについては、1ヶ月以上経過してもλonsetのシフトはほとんど見られず、ゲルは透明であった。また、ゲルの合成組成(主モノマーと架橋剤の比)を変えると生成するZnOの吸収スペクトルのλonsetが変化した。 以上のことから、予想通り、三次元ゲルネットワークを反応場とすることで、生成したZnOナノ粒子の安定性が向上すると共に、ゲル組成によってZnOナノ粒子の粒子径を制御できることが明らかとなった。
|