研究課題
基盤研究(C)
重質油をNi-MoあるいはCo-Mo触媒を用いて水素化脱硫を行なうと、反応初期においてコークの生成により触媒が失われてゆく。この活性劣化に対して、重質油に含まれるアスファルテンが大きく影響している。本研究では、水素化脱硫反応を行い、その活性劣化を測定するとともにアスファルテンそのものの性質を測定することを目的とした。水素化脱硫反応は、Kuwait産の常圧残渣油(KW-AR)を連続攪絆槽反応器あるいは固定層触媒反応器を用いて行なった。平成16年度には、KW-AR中に含まれるアスファルテンの直径を誘電損失の測定から測定した。平成17年度は、アスファルテン濃度を大きくする目的で、プロパンで脱アスファルテンしたときに生成する重質成分(PDA残さ油)を用い、この濃度を軽油で希釈しながら、アスファルテンの直径の測定を行なった。誘電率測定装置のコンデンサーの容量を変化させることにより、比較的小さな直径をもつマルテンとアスファルテンの直径を測定することができた。すなわち、マルテンの直径は1μm程度であるのに対して、アスファルテンの直径は10μm程度になった。その測定を20℃から80℃まで測定温度を変えて行なったところ、温度範囲が低すぎたせいか、温度による影響はほとんど観察されなかった。また、アスファルテンを全く含まない重質油の水素化脱硫を行なったところ、アスファルテンがないことにより、コークの生成が抑制されることを明らかにした。このように、本研究が目的とした360℃程度で行なわれる水素化脱硫反応におけるアスファルテンの直径測定はできなかったが、誘電損失法がアスファルテンの性状測定に効果的な測定装置であることを明らかにしたことは有意義であった。
すべて 2006 2005 その他
すべて 雑誌論文 (6件)
J. Jpn. Petrol. Inst., 49(印刷中)
J. Jpn. Petrol. Inst., 49・1
ページ: 22-27
J.Jpn.Petrol.Inst. vol.49
Catalysis Today 104・1
ページ: 76-85
Catalysis Today vol.101
J.Jpn.Petrol.Inst. vol.49(in print)