本年度はシアリルルイス糖鎖もしくはその類似糖鎖を生産していると思われる連鎖球菌Streptococcus intermedius及びStreptococcus anginosusから新規糖転移酵素を取得するためにまずこれらの菌株の莢膜多糖を認識する抗血清を作製した。莢膜多糖に関係する遺伝子を取得する方法としてはトランスポゾンを利用した変異株取得法を用いるがこの際莢膜多糖の抗血清は多糖生産の有無を判定するのに必要不可欠である。今回ウサギから取得した抗血清は菌体培養上清のゲルろ過精製面分(約800kD)に特異的に反応する事がELISAによって明らかとなった。この反応の特徴は莢膜多糖に典型的であり、ProteinaseK処理によっても失われない。また今回使用した菌株はS.intermedius ATCC27335とS.anginosus ATCC33397だが同種の他のstrainにはほとんど反応しないことも判明した。莢膜多糖はstrainごとに異なることが普通であり、今回作製した抗血清は明らかに莢膜多糖を認識していると考えられる。今後この抗血清による反応性を指標としてトランスポゾン法やバイオインフォーマティクスを利用した糖転移酵素遺伝子の取得を進めていく予定である。
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