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2005 年度 実績報告書

分子進化工学的手法による内分泌撹乱物質・ノニルフェノールの分解遺伝子系の構築

研究課題

研究課題/領域番号 16560684
研究機関兵庫県立大学

研究代表者

武尾 正弘  兵庫県立大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (40236443)

研究分担者 根来 誠司  兵庫県立大学, 大学院・工学研究科, 教授 (90156159)
北村 千寿  兵庫県立大学, 大学院・工学研究科, 助手 (60295748)
キーワードブチルフェノール / ノニルフェノール / 分子進化工学 / Pseudomonas putida / Sphingomonas sp. / 環境ホルモン / 生物分解
研究概要

環境ホルモンとして知られるアルキルフェノールの分解遺伝子を取得し、その分解機構を理解する目的で、ブチルフェノール分解菌Pseudomonas putida MT4株から既にクローン化してあるフェノールヒドロキシラーゼ遺伝子(bupA)を分子進化的手法により、アルキル鎖がより大きいアルキルフェノール類に活性のある酵素遺伝子の構築を試みた。また、既に取得しているノニルフェノール分解菌Sphingomonas sp. NP5株のノニルフェノールの分解系を解析し、本物質がどのように分解されるか検討した。
まず、bupA遺伝子をカセット式にシャトルベクターpBBR1MCS-2に組み込み、この部分だけをerror-prone-PCRによりランダム変異を導入した。その結果、最大で1%程度の割合で変異を導入できたので、変異導入した組換えプラスミドライブラリーをP. putida KT2440に形質転換し、各種アルキルフェノールを含有する寒天培地で褐色のアルキルカテコールを蓄積する形質転換株を選択し、その分解能を評価した。野生型の酵素は、昨年度、ヘプチルフェノール(C7)まで活性を示すことが示唆されていたため、オクチルフェノール及びノニルフェノールの分解性を評価した。形質転換株の一部はこれらのアルキルフェノールを弱く酸化しているようであったが、その活性は極めて微弱で、さらにこれらのアルキルフェノール類が水に均質に溶解しにくいことから、定量的データの取得ができなかった。そこで、次の課題であったSphingomonas sp. NP5株の分解の研究に重点を移した。この菌株のノニルフェノールの分解を詳細に解析したところ、20種類以上の異性体(アルキル鎖の分岐の違い)をほぼ完全に分解できることがわかった。分解の過程で、同種の分解菌でアルキル基がノニルアルコールとして遊離し、最終産物として蓄積することが報告されていたが、NP5株でも、ノニルアルコールが生成し、その構造によっては、それをそのケトン体に酸化し、さらに下流代謝物へ変換することが世界で初めて明らかとなった。一方、ノニルフェノールからの最初の代謝物は、MW=235であることがわかったので、水酸基が1つ付加された構造と推定されたが、正確な構造決定には至っていない。また、NP5株の培養液に、HPLC分析で1,2,4-ベンゼントリオールとほぼ同じリテンションタイムを持ち、その吸収スペクトルも似た代謝物が検出されたため、1,2,4-ベンゼントリオールの開裂酵素であるHydroquinol 1,2-dioxygenaseの遺伝子のクローン化を試みたところ、この遺伝子の取得に成功した。現在、この遺伝子の破壊株を構築し、ノニルフェノールからの代謝物の分析を計画している。

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公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

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