研究概要 |
Anammox菌の重要な酵素と思われるヒドラジン酸化酵素(HZO)の性質の解明とHZOをコードするHZO遺伝子の塩基配列を決定した。ヒドラジンの酸化に対するKm, Vmaxはそれぞれ5.5μM、6.2μmol/min/mg proteinであり、ヒドロキシルアミンによるヒドラジン酸化の拮抗阻害が観察された。このKiは2.4μMとかなり低くかった。従来の報告にはHZOのような性質の酵素の報告はなかった。HZOは菌体タンパク質の10%以上も発現しており、脱窒を行うAnammoxの中心的な酵素であると思われた。HZOを=コードする遺伝子は2種類(HZOA.HZOB)あり、HZOBがHZOAの3〜5倍多く発現していた。 KSU-1株を主要な細菌とする汚泥からDNAを抽出し、メタゲノム解析を行った結果、Anammox菌以外に、Geobacter(Fe(lll)を酸化剤として、いわゆる鉄呼吸を行う細菌)、Roseiflexus, Anaeromyxobacter, Burkholderia, Kineococcus, Azoarcus, Syntrophus(メタン生成菌と共生している細菌), Solibacter, Chloroflexus, Methanosarcina(絶対嫌気性のメタン生成菌),Blastopirellula, Leishmania, Rhodopirellulaなどの遺伝子と相同性のある遺伝子が見いだされた。 一方、他栄養性脱窒菌脱窒菌のキー酵素である異化型亜硝酸還元酵素(Nir)遺伝子、nir Sを汚泥中から多種類検出した。しかし、nir Sの発現量はかなり低く、従属栄型脱窒菌の共生は非常に限定したものであると推測された。
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