研究概要 |
高温超電導バルクを界磁とする回転電機子形バルク同期機(直径200mm、厚み96mm)を試作し、試験した。(1)試作同期機はアキシャルエアギャップ形で、2極の高温超電導バルク(直径46mm、厚み17mm)を収納した厚み23mmのクライオクーラーを、バックヨーク(直径200mm、厚み10mm)に銅線(φ1.8mm)を108巻きした渦巻状電機子巻線(直径70mm、厚み25mm)3個(1(個/相)×3相)を取り付けた電機子2個が各々1.5mmの空隙を持って挟む構造になっている。(2)回転軸に取り付けたエンコーダで磁極位相を検出し、それとトルクに関係付けられた正弦波電流を、インバータからブラシ、スリップリングを経て電機子巻線に通電する。(3)高温超電導バルクは、6W、20Kの冷凍能力をもつクライオクーラーの冷凍部に取り作られた8角形の板に取り付けられている。4極まで取り付けることが可能であるが、経費の都合で2極とした。(4)クライオクーラーの外側に着脱可能な銅線で作製したパルス着磁用渦巻状着磁巻線をバルクを挟むように取り付け、それに電源からパルス電流を流してバルクをパルス着磁する。着磁はバルク毎に行う。計測最高着磁磁束密度はクライオクーラーの外側表面で2.5T程度であった。その外側表面から3mm離れたバルク表面での最高着磁磁束密度は4,6T程度と推定でき、計画値を達成できた。(5)高温超電導バルク、電機子巻線のピッチサークルは100mmである。(6)可変速運転や負荷試験を実施し、可変速電動機として問題ないことを確認した。(7)界磁2極では速度起電力の歪みが大きい。この状態で、1,000rpmで0.5kWの出力を確認した。上記(3)で述べたように界磁を4極にすることが可能な構造にしてあるので、それを3次元有限要素法電磁界解析で解析した。その結果、界磁を4極にすると速度起電力は歪みが小さい正弦波となり、1,000rpmで1.1kWの出力が得られることがわかった。
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