研究概要 |
日本における国内生産および輸入からなるマテリアルバランスの中で,最終的にごみとして廃棄される量は全体の1/4を占めて年間約5億トンに上り,最終処分場の不足や中間処理に伴う公害の発生,不法投棄等の社会問題から,処理・処分場を確保することが急務となっている。このため,地域内に処理・処分場の不足している地域では,余裕のある他地域へ高速道路などの交通網を利用した広域輸送により廃棄物の処理・処分を対処しているのが実情である。 また一方では,廃棄物全体量を削減するために,リサイクルやリユースの推進から他産業での廃棄物を別の産業で資源として有効活用することを目指した循環型社会の構築が急務となっている。循環型社会構築には,広域に点在する廃棄物の排出源である消費地や工業地帯と,廃棄物を資源化処理するリサイクル工場や処分場との間に新しい物流体系を構築することが重要な課題となる。 これらの背景から循環型社会を支援する調和のとれた物流として船舶を利用した物流システムのコンセプトを提案し,適用例として産業廃棄物の最終処分場への輸送問題を扱った。 産業廃棄物の種類による産業廃棄物の最終処分率やリサイクル率は公表されていないため文献を基に調査を行い最終処分量の内訳を推定した。さらに,設定した問題に対して排出源からの廃棄物を輸送と処理制約に関する数理計画モデルとして輸送分配問題を策定した。またこの問題の解法として均衡組合せ法を考案して解析を行った。計算により海運を活用した輸送の環境負荷への有利性を確認し,提案の廃棄物物流システムの適正の検証を行った。
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