研究概要 |
VARTM法による大型ユニット構造の成形時に発生する継手部を想定し,継手構造の一体成形を行ない,その強度評価を行なった.多軸織物基材継手のラップ長さと継手強度の関係を求め,継手強度を最大化するための最小ラップ長さを求めた.また,端末形状をステップ状としたシングルスカーフ継手についても同様の検討を行なった. 1.シングルラップ継手の引張剪断試験では,ラップ長さが60mmにおいて引張剪断強度の上限を示し,60mm以上ラップ長さを増しても引張剪断強度の向上は見られなかった. 2.ダブルラップ継手の引張剪断試験では,シングルラップ継手と同等のラップ長さの場合,約5%程度の強度向上にとどまった. 3.一方,シングルスカーフ継手では,ラップ継手と同等のラップ長さであっても,強度はラップ構造をはるかに上回り,シングルラップ継手に比べおよそ2倍の引張剪断強度を示した. 4.ラップ継手とスカーフ継手では,引張荷重により生じる継手部剪断力は大きく異なり,それによって継手部強度自体が大きく影響を受けると考えられる.継手構造設計の際は剪断力の分散が,強度の鍵を握る大きな要素となっていることが明らかとなった.
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