16年度に実施した鹿児島県鹿屋市野里地区での特殊地下壕探査では、送-受信点間距離120mの空洞反応が最も明確であった。また、地下壕とともに、地盤の「緩み」も高比抵抗領域として検出されるため、両者をどう区別するかが課題として残った。 これらの問題を解決するため、有限差分法を用いた3次元プログラムを開発した。まず、均質な地下構造上にアンテナを水平及び鉛直に設置した場合(それぞれ鉛直、水平磁気モーメントを与える)、計算結果が理論式と一致することから、プログラムが正常であることを確認した。次に、深度6 10mに一辺4mの正方形断面を有するトンネルを置き、送・受信点間距離によりトンネルがどのようなレスポンスを示すかを計算した。その結果、水平アンテナの場合、トンネルによる見掛けの比抵抗値の増幅度は、スキンデプスの3.0倍の送・受信点間距離で最大(約1.2)となることが明らかになった。また、この値は、フェア・フィールドでの値の約2倍となり、ニアフィールド領域での測定が、地下空洞(高比抵抗体)の検出に有効であることが確認できた。今後、野里地区のシミュレーションを行い、地盤の「緩み」と空洞のレスポンスの違い等について検討を行う予定である。また、検出可能なトンネルの最大の深さ(土被り比)についも、モデル計算を用いて検討する。 本年度は、薩摩川内市のシラスを用いた実験堤防での空洞検出実験も実施した。結果については、現在解析中である。
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