研究概要 |
昨年度に完成した3次元有限差分法のプログラムを用いて、トンネル状地下空洞の電磁応答についての計算を実施した。このプログラムでは、波源として、水平、鉛直ループコイル、水平-様磁場を選択することができる。ソースが水平ループコイルの場合で、4種類の形状を持つトンネルについて、周波数をそれぞれ5k-100kHz間で、トンネルの深さは1-20m間で変化させて計算し、以下のような興味ある結果が得られた。 1.送-受信点問距離とろキンデプスの比であるインダクション数が0.6-5の範囲(ニアフィールド遷移域)では,見掛比抵抗は送-受信点間距離の減少と共に増加し、また夫地の比抵抗より大きくなる。 2.トンネルによる見掛比抵抗増加は,送一受信点間距離がこの遷移域にある測線では,フェアフィールド域(水平一様磁場モード)に比べて1.7-2.3倍大きい。 3.遷移域での見掛比抵抗増加率は,トンネルの深さ(土被深度)によって決定され,周波数,大地の比抵抗値にほとんど依存しない。ただし,土被深度がスキンデプス程度以上になると急速に減少する。 4.トンネルによるこのような変化は,位相については認められない。 さらに、佐賀大学フィールドセンターでの模擬空洞を用いた、ソースが水平ループコイルの実験結果も、このモデルでよく再現できることが明らかになった。これらの結果は2006年秋の物理探査学会で発表した。現在、物理探査学会誌へ投稿準備中である。
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