研究計画の初年度として、以下の研究を行った。 1.爆源近傍における応力波の伝ぱ特性に関する実験 爆源近傍における応力波の伝ぱ速度、波面構造を明らかにするために、市販の地震探鉱用電気雷管を装薬に使用して、モデル実験を行った。供試体にはPMMAを使用し、供試体表面にひずみゲージを添付して、波面到達時刻、動ひずみ履歴を測定した。この実験条件下での応力波の挙動については、Qスイッチルビーレーザーを光源に使用した瞬間シャドウグラフ可視化観察によって、波面の位置と伝ぱ時間の関係が、爆源から75mm〜150mmの領域について明らかにしている。今回の実験では、爆源から30mm〜90mmの位置に添付したひずみゲージの動ひずみ履歴の電気的計測によって、応力波の伝ぱ速度とその減衰特性を求めた。実験結果から、爆源から30mm〜50mmの領域では、約3.4km/sの平均伝ぱ速度であり、50mm〜70mmの領域では約3.1km/s、70mm〜90mmでは約2.8km/sであった。この供試体の縦波弾性波速度が2.62km/sであることから、爆源近傍では、その波面速度が弾性波速度以上の衝撃波領域(塑性領域)から、弾性波領域へ遷移していることがわかる。また、動ひずみ履歴から、波面の伝ぱ方向に沿うひずみ変化は、波面到達によって、強い急峻な圧縮ひずみ履歴となるが、その後に、引張ひずみを生じさせる波面構造となっていることが明らかになった。 2.物質内ゲージ法による応力波の計測法の構築 爆破にともなう応力波の波面形状は3次元的であり、供試体中に、センサーを埋め込んで直接、応力波の圧力履歴を知ることが必要である。このため、新たに、PVDFゲージを使用した物質内ゲージ法による計測システムを具体化し、実験は次年度も継続される。
|