研究課題/領域番号 |
16560721
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
乗松 孝好 大阪大学, レーザーエネルギー学研究センター, 教授 (50135753)
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研究分担者 |
中井 光男 大阪大学, レーザーエネルギー学研究センター, 助教授 (70201663)
長井 圭治 大阪大学, レーザーエネルギー学研究センター, 助手 (30280803)
長友 英夫 大阪大学, レーザーエネルギー学研究センター, 助手 (10283813)
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キーワード | レーザー核融合炉 / 液体壁 / 最終光学系 / エアロゾル |
研究概要 |
将来の液体金属を第一壁とするレーザー核融合炉における最終光学系への金属蒸気の吸着や、エアロゾル(金属の微粒子)の生成を模擬実験で評価した。その結果、炉内の背圧(未燃焼の水素ガスを想定)が100Pa以下であれば、エアロゾルの生成も見られず、また、ビームダクト端に置かれた最終光学系への金属吸着も問題なく防ぐことができる見通しが得られた。 将来の実用炉では最終光学系は中性子による損傷を防ぐため、30m程度炉心より離れたところに設置される。(炉半径は3m)ビームダクトの大きさは高速点火方式の圧縮ビームで15cm程度、追加熱ビームで60cm程度である。イオンは磁場によって遮閉できるが、核融合反応後のα線による加熱で第1壁から1ショット当たり10kg程度の金属(LiPbを想定)が蒸発する。その多くは回転シャッターで遮閉されるが、レーザー照射のためにシャッターを開ける時でもビームダクト内に100m/s程度の速度で金属蒸気が流入する。この金属蒸気が最終光学系に付着するかどうかは液体壁炉の重要な課題である。 この現象を実験的に模擬するため、実物の1/5の直径を持つ模擬ビームダクトをLiPb蒸気を満たした電気炉の中に挿入し、LiPb蒸気の拡散、エアロゾルの生成を観測した。実際の炉のレーザー照射直前の温度は600℃と想定されているが、蒸発後の蒸気圧を確保するため、模擬炉の部分は1100℃まで加熱した。模擬ビームダクトは長さ60cmであり、一端は1100℃の炉心に、もう一端は室温に保たれ、室温側に最終光学系に相当するガラス基板を置き、その上に付着する金属膜、微粒子を観測するとともに、模擬ビームダクト内に付着する金属から、蒸気の拡散の状況を評価した。気体分子の平均自由行程とダクト直系の関係が現象に影響するので、炉内の背圧は5倍高くして実験を行なった。 その結果、1)蒸気源をLiPbでもPbにした場合でも鉛成分の模擬ビームダクト内の分布にはほとんど差はなかった。蒸気源にLiPbを用いた場合、模擬ビームダクト内部の高温領域に酸化リチウムと思われる物質の堆積が観測された。これは、鉛成分が炉の余熱で蒸発し、酸化リチウムだけが残ったためと思われる。2)ビームダクト内の圧力が10〜100Paではビームダクト端に置かれたガラス基板には金属の付着は見られなかった。また、直径0.1μmクラスのエアロゾルの生成も観測されなかった。3)炉内圧力が1kPa以上の場合、多量の金属微粒子の生成が観測された。 以上の実験結果から、さらにシャッターが開いたときの金属蒸気の挙動を数値計算したところ、バッファーガスが10〜100Paでは最終光学系にまで金属蒸気の汚染が進むことはないことが分かった。この圧力は実用炉では2〜20Pa程度に相当する。
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