研究課題/領域番号 |
16560725
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研究機関 | 核融合科学研究所 |
研究代表者 |
西村 新 核融合科学研究所, 炉工学研究センター, 教授 (60156099)
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研究分担者 |
妹尾 和威 核融合科学研究所, 炉工学研究センター, 助手 (70370137)
菱沼 良光 核融合科学研究所, 炉工学研究センター, 助手 (00322529)
竹内 孝夫 物質・材料研究機構, 超伝導材料センター, グループリーダー (80354299)
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キーワード | 14MeV中性子 / Nb3Sn線 / Nb3Al線 / 超伝導線材 / 極低温照射 / 純銅線 / 抵抗値変化 / 照射損傷 |
研究概要 |
GM冷凍機によってNb3Sn、Nb3Al線材などの試料を4.5Kに保持した状態で14MeV中性子を照射し、超伝導特性の変化を検討した。実験では、中性子照射後、試料温度を上げることなく臨界温度の計測を行った。中性子照射量は約10^<20>n/m^2である。試料としては、分子量論的に3対1の割合で混合し、急速過熱、急速急冷(RHQ熱処理)したNb3Al線材とRHQ熱処理後annealしたものを準備した。RHQ熱処理後の臨界温度は13.8Kであり、RHQ熱処理後、annealしたものは18.3Kである。中性子照射後それぞれの試料の臨界温度は13.2K、18.2Kとなった。0.1K程度は計測誤差であることを考慮すると、明らかにRHQ熱処理後の試料は臨界温度が低下している。約10^<20>n/m^2の中性子照射量は弾き出し量で約10^<-5>dpaに相当すると考えられ、臨界温度が低い試料は、わずかの弾き出しで特性変化が生じることがわかる。 14MeV中性子照射によって、NbやAlもしくはSnの原子が弾き出されると、弾き出された後には原子空孔が残り、弾き出された原子は格子間原子となる。4.5Kといった極低温では、原子はスピンのエネルギーは保持しているものの、振動のエネルギーはほとんどセロである。そのため、一旦格子間原子となった弾き出された原子はフランケルペアを解消することが出来ない。もともと原子配列の良くない(長範囲規則性の良くない)RHQ熱処理材では、わずかの弾き出しによってA15結晶の非結晶化が進み、臨界温度が低くなる。しかし、充分にA15結晶の原子配列が構成されていたanneal材では、多少の弾き出しが生じてもそれを補うだけの十分なA15結晶が存在するため、臨界温度の低下が引き起こされなかったものと考えられる。
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