研究課題
基盤研究(C)
本研究の目的は、ITERなど核燃焼トカマクの計測法としての有効性を検証するために、JT-60Uトカマクにおいてイメージング・ボロメータによるトカマク・プラズマの放射損失計測を試みることである。当初設定した項目(1)JT-60Uトカマク用イメージング・ボロメータの製作、(2)試験計測と中性子などの影響評価、(3)既存抵抗型ボロメータとの特性比較、を実施して核燃焼トカマクの放射損失計測に必要な性能を備えている事を確かめた。(4)のトモグラフィー解析も期間内に初期結果を得た。局所放射現象のヘリカル装置との比較については今後も研究を継続する予定である。当初は受光薄膜の耐久性を懸念したが、ディスラプションも含めて3200ショットを超える実験放電と3年間のJT-60Uの運転期間中トラブルは発生しなかった。差圧緩和構造により膜への応力を抑制出来たためと考えられる。試作したイメージング・ボロメータはほぼ設計通りの光学性能を示した。中性子や磁場の影響について将来の遮蔽設計に有用なデータを得た。また薄膜の熱特性値を調べる「その場較正試験」を行なって温度分布像を放射パワー画像に変換した。イメージング・ボロメータで観測したJT-60Uプラズマの放射損失は既存の抵抗型ボロメータによる測定とよく整合がとれており、両者は空間分解の誤差の範囲でほぼ一致した。但し、抵抗型ボロメータに較べるとまだ感度は低く、ダイバータ物理の詳細研究には分解能が不足している。今後より高感度の赤外カメラに変える予定である。本研究で得た特筆すべき成果は、イメージング・ボロメータの視線をトロイダル方向にとる事によって、ダイバータからコアへの放射遷移過程など広い範囲の大域的な変化が一目で観測可能になったことである。このような測定は今迄例がなく、今後トカマク・プラズマの理解を助ける有力な観測法の一つになると思われる。
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Journal of Plasma and Fusion Research (印刷中)
Journal of Plasma and Fusion Research (in press)