研究課題/領域番号 |
16560732
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
阿部 弘亨 東京大学, 原子力研究総合センター, 助教授 (40343925)
|
研究分担者 |
関村 直人 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (10183055)
岩井 岳夫 東京大学, 原子力研究総合センター, 助手 (30272529)
李 正操 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (30376496)
|
キーワード | 電子顕微鏡法 / イオン加速器 / はじき出しカスケード / 分子動力学計算 / 整合析出 / クラウディオン型 / 銅 / 金 |
研究概要 |
イオンや中性子による照射を被ると材料中には多量の格子欠陥が導入され、材料は劣化に至る。最近の理論的研究ならびに我々の実験的研究では、はじき出しカスケード(点欠陥の密集領域)の形成過程において新しい型の欠陥(クラウディオン型クラスタ)が予測されている。この欠陥は非常に可動性が高いと予測され、例えば結晶粒界などにおける欠陥蓄積が促進され、材料劣化が加速試験の予測よりも早く進行する可能性がある。そこで本研究ではこれらの機構解明に関して実験的、理論的研究を展開する。特に以下の三点にっいて検討した。 (1)加速器結合型電子顕微鏡によるクラウディオン型クラスタの直接観察 十分に焼鈍した高純度の銅と金において400〜600℃の比較的高温でのイオン照射その場電顕観察実験からクラウディオン型クラスタを実験的に捉えることに世界で初めて成功した。そして100nmオーダーの可動性やその形成頻度に及ぼす照射環境の影響などを明らかにした。 (2)CBの安定性に関する分子動力学計算実験 その場観察実験の結果から、クラウディオン型クラスタが移動し点欠陥と相互作用してフランク・ループに変化する、というモデルを構築し、その検証のため分子動力学計算を行った。熱的安定性や空孔どの相互作用から、80K以上での可動性や空孔との相互作用などを明らかにした。 (3)イオン照射したCu-Co合金析出物の断面観察実験 時効析出型合金であるCu-Co中の整合析出粒子周辺の弾性歪場を利用し、クラウディオン型クラタの計測法を確立した。そしてイオン照射後の断面観察により飛程よりも深部で整合性低下を確認し、照射環境依存性からクラウディオン型クラスタの拡散によるものであることを明らかにした。 今年度の成果は、投稿論文1件、修士論文1件、および国際学会1件、国内学会3件として発表された。
|