研究課題
本研究はニューラルネット理論を基に、これを改良して原子力プラントの超早期異常診断に応用することを目的として16年度から18年度まで研究を実施した18年度は最終年度であるが、これまで開発してきた診断システムを改良し、実プラントの運転データを用いてその診断能力の向上について検討した。本年度はKohonennネットワークの適用に重点を置いた。Kohonennネットワークを用いることにより「異常の検知」のみならず異常の種類の判断、すなわち「異常の診断」ができると考えられる。このために原子炉シミュレータを用いて予め多くの異常状態についての運転データを発生させ、これを学習させて異常診断用のKohonennネットワークを構築した。このモデルに実プラントのデータをオンラインで入力し、出力の変動、計測上のノイズを含む運転状態において正しい異常診断ができるか、また誤警報の発生、誤診断の発生についてチェックした。日本原子力研究開発機構の高温工学試験研究炉(HTTR)について、出力増加試験時の反応度の予測、出力変動時(起動、停止時)の冷却材であるHeガスの微小な漏洩の検出可能性を示した。またインドネシアの研究用原子炉(RSG-GAS)の運転データを入手して、ノイズが混入しているデータからも出力変動時の異常検出ができることを示した。またこれらの成果の一部をまとめて国際会議および日本原子力学会などで報告した。
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Proceedings of The 2nd Information and Communication Technology Seminar Aug. 2006
Proceedings of 17th International Topical Meeting on Nuclear Plant Instrumentation, Controls, and Human Machine Interface Tech. (NPIC&HMIT 2006) Nov. 2006
九州大学工学紀要(2006年12月) 第66巻・第4号
ページ: 229-239