研究課題/領域番号 |
16560736
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
古田 雅一 大阪府立大学, 先端科学研究所, 助教授 (40181458)
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研究分担者 |
奥田 修一 大阪府立大学, 先端科学研究所, 教授 (00142175)
原 正之 大阪府立大学, 先端科学研究所, 教授 (50344172)
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キーワード | エラスチン / 感温性 / ポリペプチド / 下限臨界温度 / 放射線架橋 / ナノ粒子 / DDS |
研究概要 |
エラスチンの基本構造を有する感温性ポリペプチドであるPoly(GVGVP)_nはエラスチンと同様の弾性ポリペプチドであると同時に低温では水溶性があり、体温付近以上の温度領域において凝集する性質、すなわち下限臨界温度(LCST)を持つ。この性質を利用することにより、乳化剤等の夾雑物のない自己乳化ナノ粒子の製造が可能であり、ポリペプチド溶液の濃度、温度、かくはん速度などを調整しながら架橋反応を施すことにより、粒径がコントロールされたナノ粒子の作製が期待できる。本研究においてはエラスチンの基本構造を有する感温性ポリペプチドであるPoly(GVGVP)_nに加えてこれにフェニルアラニン、グルタミン酸が含まれるPoly{(GVGVP)(GVGFP)(GEGFP)(GVGVP)(GVGFP)(GFGFP)}_nについてLCST以上の温度への昇温条件、濃度、温度、かくはん速度などの調整により、粒径がコントロールされた分散性の優れた凝集粒子の作製条件を検討した。得られた粒子けんだく液を保温しながら^<60>Coガンマ線照射を行った。その結果、エラスチンの基本繰り返しアミノ酸配列GVGVPから成るポリペプチドの場合は40℃の温度条件で8.5kGy以上のガンマ線照射を行うことにより、照射後LCST以下の温度に戻しても無菌フィルター透過可能な200nm以下のナノ粒子が安定して得られることが明らかになった。放射線照射後のポリペプチドの分子量変化をGPCにより検討した結果、ポリペプチドの放射線照射による架橋反応においては、40kGy未満の線量においてはポリペプチドの分解は観察されず、主として架橋反応であることが示唆された。
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