研究概要 |
平成16年度までに,有機液体シンチレータと固体シンチレータを組み合わせて,熱エネルギーから100MeVまでの中性子に対する線量測定原理を開発し,その方法を採用した線量測定システムを製作した。平成17年度は,100MeV以上の高エネルギー中性子に対する製作した測定システムの特性試験を行うとともに,中性子線量を導出するためのソフトウェアの開発を行った。 高エネルギー中性子に対する特性試験は,放射線医学総合研究所重粒子線がん治療装置HIMAC(最大中性子エネルギー800MeV)及び米国ロスアラモス国立研究所中性子科学センターLANSCE(最大中性子エネルギー800MeV)を利用して行った。100MeV以上の高エネルギー中性子入射による有機液体シンチレータの応答関数を測定し,既に開発した液体シンチレータの発光量計算コードSCINFUL-QMDとの比較を行った。また,基準光源を用いた光電子増倍管の校正実験を行った。これらの結果を用いて,100MeV以上の中性子入射にも適用可能な発光量-線量変換演算子(G関数)を計算した。さらに,中性子線量を導出するソフトウェアとして,GUI(Graphical User Interface)を用いて操作性に優れ,かつ線量をリアルタイムで表示できるソフトウェアを開発した。平成17年度の成果により,約1GeVまでの中性子線量を測定する方法を確立した。
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