マルチレベル電力変換装置をソフトスイッチング化するに必要となる回路及び特性上や制御性能への影響などについて評価を行った。また、大電流出力を高速制御する必要のあるMRI電源システムへの応用も一応用例として検討した 本研究計画において主として検討を行う予定であった3レベル電力変換装置のソフトスイッチング化については共振インダクタに与える初期電流の適切な制御により共振キャパシタ電流の定値制御が行われていることが確認され、共振タンク回路の損失低減効果が期待される事を確認すると共に、共振パラメータの設定により主回路の制御性能に与える影響について検討を行った。以上の研究計画遂行上で得られた回路設計指針により大電力マルチレベル電力変換装置のEMIノイズの低減や高効率化と言った産業応用上のメリットとして活かされることが期待される。また、新たに4レベル、5レベルのスイッチングアームのソフトスイッチング化について検討を行い、提案の基本回路方式が高電圧大電力応用においても有効に適用可能であることを確認した。4レベルのソフトスイッチング化については、主スイッチングアームの電圧分割レベルが2から3となるためソフトスイッチング回路の構成には若干の拡張が必要となるが、動作シーケンスは3レベル方式と同様に極めて簡単なものであることを示している。また、5レベルの電圧分割レベルは4であることから、3レベル方式をそのまま転用する比較的簡単な回路変更のみで基本的なソフトスイッチング化が可能となり、回路動作も極めて単純であることを説明している。本方式の拡大適用は、さらに分割数の多いマルチレベル電力変換装置に適用可能であることから、大電力の処理を必要とする産業応用分野における変換装置の高性能・高効率化に効果が高いものと考えている。
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