研究課題/領域番号 |
16570002
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
古賀 章彦 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (80192574)
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研究分担者 |
嶋 昭紘 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 名誉教授 (60011590)
金森 章 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助手 (40324389)
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キーワード | トランスポゾン / 転移 / 自然突然変異 / 突然変異率 / メダカ / 脊椎動物 |
研究概要 |
当初の計画に沿って実験をすすめ、平成16年8月までに、各系統のTol2因子転移頻度のおおまかな推定値を得た。予想のとおりに、T5系統は高い値を示した。十分に高い値であり、この程度であれば、計画していた方法より簡便な方法で検出が可能である。簡便であるぶん、規模をより大きくして効率を上げることができる。そこで検出方法に変更を加えることにした。具体的には、交配で得られる子を大きくして行うゲノムDNAのサザンブロットから、胚の段階での体色突然変異の単離およびPCR解析への変更である。材料もそれに適合するように変更して、試行を行い、10月に転移頻度の推定を再開した。推定は効率よくすすみ、平成16年末までに以下の結果が得られた。(1)Tol2因子の生殖系列での転移は、特定の条件がそろったときに頻度が上昇する。(2)条件には、遺伝的な要因と環境要因の両方が関与している。(3)修正後の実験系では転移頻度がそのまま体色突然変異体の復帰突然変異率に反映されるようになっており、復帰突然変異率は最大で10^<-2>のオーダーになる。以上の結果は、Tol2因子が自然突然変異の原因として作用することを示す。トランスポゾンが原因となる突然変異率の上昇は、ショウジョウバエ、センチュウ、トウモロコシなどの多くのモデル生物で観察されているが、脊椎動物では報告はない。今回得られた結果は、脊椎動物での最初の例となり、脊椎動物のゲノム進化でのトランスポゾンの役割に再考を迫ることになる。
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