研究概要 |
RECQとゲノム安定化機構の関係に対するアプローチ <DNA損傷剤に対する感受性テスト>ショウジョウバエRecQ4遺伝子(dmrecQ4)に対する強いRNAi処理によって、発生が幼虫期あるいは蛹期に停止した。弱いRNAi処理条件下では、発生は成虫まで進んだが、幼虫期にブレオマイシン(DNA切断誘発剤)処理を行ったところ、著しい個体死が認められた。またショウジョウバエmus301変異株幼虫にブレオマイシン処理を行ったところ、著しい個体死が認められた。 <妊性と減数分裂組換えテスト>dmrecQ41の変異株の雄は妊性、雌は完全不妊であった。減数分裂組換えを誘導するmei-W68遺伝子の変異によって雌不妊性は回復しなかった。一方mus301変異株の雌は強い不妊性を示し、mei-W68変異によって回復した。 <相互作用蛋白の同定>ショウジョウバエDmRecQ4蛋白と、転写制御因子を含むいくつかの蛋白との相互作用の可能性が酵母Two-Hybrid Systemから浮かび上がった。 <DNAヘリカーゼ活性とATP加水分解活性の解析>DmrecQ4,Ku70とMus301の各蛋白については大腸菌やイーストの発現システムを用いて精製を行ってきた。 RECQと発生分化制御機構の関係に対するアプローチ <癌発症テスト>ショウジョウバエdmrecQ4、dmblm、mus301の各変異系統に対する癌発症テストとして、幼虫期におけるmelanotic spotsの形成頻度測定の準備を行っている。 <発生過程におけるDmRecQ蛋白の局在>複眼成虫原基におけるDmRecQ4蛋白の局在を観察するために、FLAG抗原付きDmRecQ4蛋白を発現するトランスジェニックラインを作製中である。そのトランスジェニックラインから複眼成虫原基を取り出して、DmRecQ4が発現している細胞を特定して、その細胞が分化前細胞分裂期、細胞分化期前半、細胞分化期後半のどの時期のものかを試験する予定である。 <卵形成過程におけるDmRecQ蛋白の局在>dmrecQ4^<P104>変異株とmus301変異株が雌不妊を示したので、卵巣を解剖して細胞生物学的な解析を開始した。FLAG抗原付きDmRecQ4蛋白とMus301蛋白を発現するトランスジェニックラインを利用して、卵室内の哺育細胞と濾胞細胞における各蛋白の局在を観察する予定である。
|