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2006 年度 実績報告書

枯草菌におけるリボソーム複合体を拠点とした発現制御ネットワーク解析

研究課題

研究課題/領域番号 16570005
研究機関立教大学

研究代表者

河村 富士夫  立教大学, 理学部, 教授 (10126039)

キーワード枯草菌 / リボソーム / rRNAオペロン / リボソームタンパク質 / 亜鉛結合タンパク質 / 重複遺伝子
研究概要

200以上の微生物のゲノムの全塩基配列が解読され、原核生物のリボソームタンパク質をコードする遺伝子はほとんどの場合1コピーであるが、数種のリボソームタンパク質にはパラログが存在するが明らかになった。それらのパラログをコードする遺伝子は亜鉛結合型と亜鉛非結合型の二種に分類することができる。われわれは、先に枯草菌のL31とそのパラログであるYtiAが、亜鉛濃度により巧妙に制御されていることを明らかにした。つまり、亜鉛が十分培地中に存在する時には、亜鉛を結合したL31のみが50Sサブユニットに結合し、YtiA遺伝子はZurレプレッサーにより転写が抑制されているが、亜鉛欠乏下には、ZurレプレッサーはytiA遺伝子のオペレーターに結合することができずに、ytiA遺伝子の転写が誘導され、新たに合成されたYtiAタンパク質がL31を結合した50SサブユニットからL31を追い出しYtiA結合型のリボソームが機能することになる。一方、50Sサブユニットから追い出されたL31は不安定となり分解されて亜鉛を細胞内に供給することになる。この機構は、亜鉛欠乏時の緊急避難的な細胞内亜鉛濃度維持機構のひとつとして機能しているものと推察される。
いまひとつの亜鉛結合型リボソームタンパク質S14(rpsN)と、そのパラログである亜鉛非結合型リボソームタンパク質YhzAは、L31とYtiAと同様に亜鉛濃度によりZurレプレッサーを介してそれらの遺伝子の発現が調節を受けていることを明らかにした。L31-YtiAの場合と異なり、S14は30Sサブユニットのアッセンブリーに重要な役割を担い、生育に必須のタンパク質である。事実、S14の欠失した細胞では30Sと50Sサブユニットの異常な蓄積が見られた。蓄積した30SサブユニットにはS2とS3タンパク質がほとんど認められなかった。このことは、試験管内で行われたアッセンブリーマップと一致した結果であることを示している。さらに、S14の機能は亜鉛非結合型のYhzAタンパク質を強制発現させることにより効率は悪いが相補できることを明らかにした。以上のごとく、亜鉛結合型と亜鉛非結合型を有する二種のリボソーム遺伝子には、長い歴史的進化の過程で明らかな機能分化が起きていることを示す結果を得た。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2007 2006

すべて 雑誌論文 (5件)

  • [雑誌論文] A fail-safe system for the ribosome under zinc-limiting conditions in Bacillus subtilis2007

    • 著者名/発表者名
      Natori, Y., Nanamiya, H., Akanuma, G., Kosono, S., Kudo, T., Ochi, K., Kawamura, F.
    • 雑誌名

      Mol. Micrbiol. 63

      ページ: 294-307

  • [雑誌論文] Construction and characterization of Bacillus subtills deletion mutants lacking the prophage 2-trnS region2006

    • 著者名/発表者名
      Akanuma, G., Habu, C., Natori, Y., Murayama, R., Nanamiya, H., Kawamura, F.
    • 雑誌名

      FEMS Microbiol., Lett. 258

      ページ: 220-226

  • [雑誌論文] Construction of Bacillus subtills strains carrying the transcriptional bgaB fusion with the promoter region of each rrn operon and their differential transcription during spore development2006

    • 著者名/発表者名
      Koga, K., Ikegami, A., Nakasone, K., Murayama, R., Akanuma, G., Natori, Y., Nanamiya, H., Kawamura, F.
    • 雑誌名

      J. Gen. Appl. Microbiol. 52

      ページ: 119-124

  • [雑誌論文] Functional myo-inositol catabolic genes of Bacillus subtills natto are involved in depletion of pinitol in natto (fermented soybean)2006

    • 著者名/発表者名
      Morinaga, T., Yamaguchi, M., Makino, Y., Nanamiya, H., Takahashi, K., Yoshikawa, H., Kawamura, F., Ashida, H., Yoshida, K.
    • 雑誌名

      Biosci. Biotechnol. Biochem. 70

      ページ: 1913-1920

  • [雑誌論文] Proteomic study of the Bacillus subtilis ribosome : finding of zinc-dependent replacement for ribosomal protein L31 paralogues2006

    • 著者名/発表者名
      Nanamiya, H., Kawamura, F., Kosono, S.
    • 雑誌名

      J. Gen. Appl. Microbiol. 52

      ページ: 249-258

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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