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2005 年度 実績報告書

共進化する群集-熱帯雨林のアリ植物-昆虫共生系の共進化に関する分子系統学的解析

研究課題

研究課題/領域番号 16570013
研究機関信州大学

研究代表者

市野 隆雄  信州大学, 理学部, 教授 (20176291)

キーワード共進化 / 共生 / 種特異性 / アリ / カイガラムシ / アリ植物 / 熱帯雨林 / 東南アジア
研究概要

1.マカランガ属植物に共生するカイガラムシのmtDNA COI系統樹について,植物との種特異性の高い,祖先的なカイガラムシ系統のサンプルを追加して解析をおこなった.この結果,カイガラムシは5つの系統に分かれた.マレー半島とボルネオ島のカイガラムシは互いに大きくふたつに分岐し,共生アリの系統樹とその点で一致した.
2.それぞれのカイガラムシmtDNA系統の植物・アリに対する種特異性は低く,共種分化仮説は棄却された.しかし,カイガラムシとアリの適応放散の年代がほぼ一致したことから,両者はここ1000万年以上の間,同時期に多様化(共多様化)してきたことが示された.
3.カリフォルニア大P.Gullan氏によって,カイガラムシの形態による種分類が行われた.この結果をmtDNA分子系統樹と比較したところ,mtDNAの5系統のうち3系統はそれぞれほぼ1形態種に対応したが,残りの2系統については同じ形態種が系統的に離れた異なるmtDNA系統群に対応していた.
4.カイガラムシ150サンプルについて核DNAのWingless遺伝子およびEF-1α遺伝子の塩基配列を決定し,核DNA系統樹を作成した.その結果,mtDNAにおいて別系統に属していた同じ形態種のカイガラムシが単系統となり,過去に浸透交雑が起こっていたことが強く示唆された.
5.マカランガ共生アリのmtDNA COI系統樹から、その多様性の起源はボルネオ島であり,多くの種が第三紀にスマトラ島を経てマレー半島へと分散したこと,第四紀における氷期のレフュジアはボルネオ島北西部,およびマレー半島とスマトラ島の山岳地帯に存在し,これに対してマレー半島とスマトラ島の低地に分布するアリ集団は,ボトルネックを経て最近個体数と分布の急激な拡大をおこなった形跡があること,などが明らかになった.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2005

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] Coevolution of ants and plants.2005

    • 著者名/発表者名
      Itino, T.
    • 雑誌名

      Pollination Ecology and the Rain Forest (eds.by Roubik, D.W., Sakai, S. and Hamid, A.A.)(Snringer, New York.)

      ページ: 172-177

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公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

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