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2007 年度 研究成果報告書概要

寄主植物の雌雄性が植食性昆虫とその寄生蜂に与える影響

研究課題

研究課題/領域番号 16570017
研究種目

基盤研究(C)

配分区分補助金
応募区分一般
研究分野 生態・環境
研究機関奈良女子大学

研究代表者

佐藤 宏明  奈良女子大学, 理学部, 准教授 (20196265)

研究期間 (年度) 2004 – 2007
キーワードヒサカキ / ヒサカキムモンハモグリガ / ムモンハモグリガ科 / 寄生蜂群集 / 早期落葉 / 過敏感応答 / 潜葉性昆虫 / 雌雄異株
研究概要

本研究の当初の目的は,ヒサカキの雌株・雄株間に見られる成長様式や栄養成分,二次代謝産物量の差違が潜葉性小蛾であるヒサカキムモンハモグリガの生態およびその寄生蜂群集に与える影響を明らかにすることであった.しかし,ヒサカキムモンハモグリガの雌株・雄株間での密度の違いは年次によって異なり,寄主植物の雌雄性が植食性昆虫に与える影響を明確にすることはできなかった.その代わり以下の重要な知見が得られた.
1.ヒサカキムモンハモグリガは旧年葉にもっぱら産卵し,当年葉にはほとんど産卵していなかった.当年葉は旧年葉に比べ,窒素量が少なく,窒素炭素比が低いことから栄養的に劣り,またカテキン類のひとつであるエピガロカテキン量が高かった.また,当年葉に強制産卵させたところ,孵化した幼虫のほとんどが変形した葉組織細胞に囲まれ死亡した.したがって,雌成虫が当年葉にほとんど産卵しない適応的意義として,当年葉の栄養的な質の低さではなく,潜孔に対する当年葉の過敏感応答を回避している言える.
2.ヒサカキムモンハモグリガ幼虫を実験的に殺した葉と生かしたままの葉でその後の落葉率を比較した野外操作実験から,ヒサカキムモンハモグリガ幼虫は自身が潜っている葉が劣化し落ちることがないよう,羽化直前まで落葉を抑制し,結果として生存率を高めていることがわかった.
3.ヒサカキムモンハモグリガの寄生蜂群集は12種からなり,うち1種がkoinobiontであり,他はidiobiontであった.この寄生蜂群集の多種共存機構として,優占種であり,ヒサカキムモンハモグリガを専門に利用するkoinobiontに対するidiobiontの高い二次寄生率と,これらidiobiontの広い寄主利用幅があげられた.
4.大阪府立大と北海道大学に所蔵されている標本と野外採集で得られた標本から4未記載種を発見した.また,東南アジア島嶼域には分布しないとされていたムモンハモグリガ上科がインドネシアのジャワ島にも分布することを確認した.

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2007 2005 2004

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Inhibition of premature leaf abscission by a leafminer and its adaptive significance2007

    • 著者名/発表者名
      Masako Oishi, Hiroaki Sato
    • 雑誌名

      Environmental Entomology 36

      ページ: 1504-1511

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 査読あり
  • [雑誌論文] Inhibition of premature leaf abscission by a leafminer and its adaptive significance2007

    • 著者名/発表者名
      Masako, Oishi, Hiroaki, Sato
    • 雑誌名

      Environmental Entomology 36

      ページ: 1504-1511

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [学会発表] 寄主植物の早期落葉を抑制する潜葉性昆虫.2005

    • 著者名/発表者名
      大石理子・佐藤宏明
    • 学会等名
      日本昆虫学会第65回大会.
    • 発表場所
      岡山大学
    • 年月日
      2005-09-24
    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [学会発表] A leafminer inhibiting early leaf abscission2005

    • 著者名/発表者名
      Masako, Oishi, Hiroaki, Sato
    • 学会等名
      65th Annual Conference of Japanese Entomological Society
    • 発表場所
      Higashi-Hiroshima
    • 年月日
      2005-09-24
    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [学会発表] ヒサカキムモンハモグリガの生態と食樹-蛾-寄生蜂間の相互作用2004

    • 著者名/発表者名
      大石理子・佐藤宏明
    • 学会等名
      日本昆虫学会第64回大会.
    • 発表場所
      北海道大学
    • 年月日
      2004-09-25
    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [学会発表] Ecology of Coptotriche japoniella (Lepidoptera, Tischeriidae) and interactions among the host plant, leafminer and its parasitoids2004

    • 著者名/発表者名
      Masako, Oishi, Hiroaki, Sato
    • 学会等名
      64th Annual Conference of Japanese Entomological Society
    • 発表場所
      Sapporo
    • 年月日
      2004-09-25
    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より

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公開日: 2010-02-04  

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