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2006 年度 実績報告書

外生菌根中の共生菌バイオマスの定量

研究課題

研究課題/領域番号 16570018
研究機関広島大学

研究代表者

堀越 孝雄  広島大学, 大学院総合科学研究科, 教授 (00094102)

キーワード外生菌根 / 菌根 / 菌根菌 / 菌鞘 / 森林生態系 / 炭素循環
研究概要

目的:森林生態系の炭素循環における外生菌根菌の役割を高精度で定量的に評価するために、多様な樹種・樹齢の菌根中の共生菌バイオマスを3つの方法で定量した。
方法:北海道と中国地方の亜寒帯、冷温帯、温帯、暖温帯林で、針葉樹6種(モミ、トドマツ、カラマツ、アカエゾマツ、エゾマツ、アカマツ)、広葉樹7種(ダケカンバ、シラカンバ、ブナ、ミズナラ、アラカシ、ウバメガシ、コナラ)の実生、モミ、アカマツ、ブナ、コナラについては40年生以上の成木の外生菌根を採取した。採取全樹種について、(1)菌根の輪切り切片の顕微鏡観察により菌根の横断面積にしめる菌鞘の面積割合を求めた。アカマツ成木-ヌメリイグチ菌根について、菌鞘の面積割合を求めるのと同時に、(2)菌鞘を菌根からはぎ取り秤量することにより重量べ一スの共生菌バイオマスを求めた。(3)真菌類の細胞膜に特有のエルゴステロールを定量することにより、菌根全体とコア植物組織中の菌類バイオマスを求めた。
結果:(1)菌鞘の面積割合の測定では、針葉樹実生の平均値23.2(重量べースに換算すると34.6)%、広葉樹実生の平均値26.4(重量ベース、39.3)%であり、広葉樹の方が大きかった。実生と成木の比較では、アカマツとブナでは同レベルであったが、モミとコナラでは成木の方が実生よりも有意に大きかった。(2)アカマツ成木-ヌメリイグチ菌根の重量ベースの共生菌バイオマスは、41.9%であった。(3)アカマツ成木-ヌメリイグチ菌根中のエルゴステロールの定量による結果では、菌鞘中の共生菌バイオマスは、41.7%であったが、コア植物組織中に28.8%の菌類バイオマスが存在することが明らかになった。
考察:(1)3つの方法により、広葉樹ではHarley & McCready (1952)がヨーロッパブナ菌根で得た40%に近いことが確認された。針葉樹では若干小さい値であった。(2)従来看過されていたコア植物組織中にもかなりの共生菌バイオマスが存在する可能性が示された。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2007 2006

すべて 雑誌論文 (5件)

  • [雑誌論文] Fungal content of ectomcorrhizal tips : comparison among 13 tree species2007

    • 著者名/発表者名
      Kinoshita Akihiko
    • 雑誌名

      Mycoscience 48・3(印刷中)

  • [雑誌論文] 植物の根に関する諸問題〔165〕-森林の炭素循環における外生菌根菌の役割-2007

    • 著者名/発表者名
      里村多香美
    • 雑誌名

      農業および園芸 82・4(印刷中)

  • [雑誌論文] Introduction to the direct methods to quantify the fungal content in ectomycorrhizal fine roots2006

    • 著者名/発表者名
      Satomura Takami
    • 雑誌名

      Root Research 15・3

      ページ: 119-124

  • [雑誌論文] Ergosterol analysis methods to quantify the fungal content in ectomycorrhizal fine roots2006

    • 著者名/発表者名
      Satomura Takami
    • 雑誌名

      Root Research 15・4

      ページ: 149-154

  • [雑誌論文] Quantification of the amount of carbon consumed by ectomycorrhizal fungi in a Japanese red pine forest2006

    • 著者名/発表者名
      Satomura Takami
    • 雑誌名

      Root Research 15・4

      ページ: 155-159

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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