1.Synechococcus sp. PCC7942のgroESL1オペロンの、新規な転写因子Orf7.5とHrcAによる「正」と「負」の転写調節 ラン・オフin vitro転写解析を行い、Orf7.5がgroESL1プロモーターの転写活性を特に高温下で増加させることを明らかにした。PCC7942株のhrcAを破壊してもCIRCEオペレーターを有する(通常条件下における)groESL1転写の脱抑制は起こらなかった。 2.S.vulcanusの低分子量Hsp遺伝子(hspA)の転写後調節 hspAの転写後調節(高温における翻訳活性の増加)は、hspAのコード領域と16S rRNAの相互作用を介して起こることを示唆する結果を得た。 3.HspAによる細胞内微細構造の安定化 HspAの大量発現株の透過電子顕微鏡・蛍光顕微鏡観察から、高温あるいは強光下でHspAはチラコイド膜や核様体の構造を安定化することを明らかにした。免疫電子顕微鏡法により熱ショック後にHspAの細胞内局在が、チラコイド膜と細胞質間で変化することを明らかにした。 4.光合成集光装置フィコビリソームの構築に果たすHSPの役割 フィコビリソームの基本構成単位であるフィコシアニンと低分子量HSP、フィコビリソーム構造の骨組みをなすと考えられているリンカーポリペプチドとHtpG、の特異的相互作用を明らかにした。 5.HtpGの分子シャペロン機能 HspAとHtpGは共にATP非依存的分子シャペロン活性を有し機能的に類似している。htpG変異株にHspAを発現させても変異株の表現型は野生型に復帰せず、細胞内におけるこれらの分子シャペロンの機能が異なることが示唆された。ヘム、クロロフィル及びビリン合成経路の基質を生成するuroporphyrinogen decarboxylaseを大腸菌で大量発現して精製した。HtpGはこの酵素を活性化した。
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