研究課題
植物細胞内で、葉緑体は、二酸化炭素を効率良く吸収するために細胞膜に接して存在している。葉緑体を細胞膜へアンカーする仕組みについて、細胞膜ゴーストを用いて解析を行なっている。ホウレンソウ葉肉細胞をプロトプラスト化後、ポリリジンコートしたカバースリップに貼り付け、ナイロンメッシュで押しつぶすことにより、細胞質側を露出させた細胞膜ゴーストを調製した。バッファで洗浄後も、ゴースト上の葉緑体は細胞膜にアンカーされていた。間接蛍光抗体法および蛍光ファロイジン染色により、ゴースト上に残った葉緑体をアクチン繊維が取り囲んでいることがわかった。葉緑体の細胞膜へのアンカーについて、ゴーストの単位面積あたりに占める葉緑体の面積を指標として解析した。葉緑体のアンカーは、アクチン脱重合剤ならびに1マイクロモル以上のカルシウムイオンに感受性を示した。この時、ゴースト上のアクチン繊維は切断もしくは脱重合を起こしていた。そこで、カルシウム感受性のアクチン結合蛋白質に注目し、テッポウユリ花粉管で同定された2種類の植物ビリンの抗体を用いて間接蛍光抗体法を行なったところ、ゴースト上の葉緑体の近傍に、それぞれ独特の様式で局在していることが分かった。免疫ブロッティングにより、2種類のビリン抗体は、ホウレンソウ緑葉においてそれぞれ異なるポリペプチドを認識した。これらのポリペプチドが葉緑体の細胞膜へのアンカーにおいて果たす役割について、さらに解析を進めた。(第17回国際植物科学会議、第12回日本光生物学協会年会、日本植物学会第69回大会で口頭発表)
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Plant, Cell and Environment (印刷中)
Protoplasma (印刷中)
Light Sensing in Plants(Wada M., Shimazaki K., Iino M., eds.)(Springer-Verlag Tokyo)
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Planta 221
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