研究課題/領域番号 |
16570043
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研究機関 | 独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構 |
研究代表者 |
山口 武志 独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構, 中央農業総合研究センター・北陸地域基盤研究部, チーム長 (40243604)
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研究分担者 |
渋谷 直人 明治大学, 農学部, 教授 (70350270)
南 栄一 独立行政法人農業生物資源研究所, 生体高分子研究グループ, チーム長 (70373256)
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キーワード | イネ / リン脂質 / RNAi / ミュータントパネル / 擬似病斑変異体 / 過激感反応 / 登熱 |
研究概要 |
1、イネのカルスと登熟過程の種子組織で発現しているリン脂質代謝酵素遺伝子を解析した結果、これまでにPhospholipase D(PLD)(8種類)、PLC(3種類)、PLA(2種類)、PA-phosphatase(1種類)、Diacylglycerolkinase(2種類)、Phosphatidylinositol 5-kinase(PI5K)(3種類)、Inositolphosphate 5-phosphatase(IP5P)(2種類)が発現していることを明らかにした。これらの遺伝子について、それぞれのRNA干渉(RNAi)用ベクターを構築し、形質転換による遺伝子発現抑制系統を確立し、栽培生理試験を実施した。またこれらの遺伝子のうちレトロトランスポゾンTos17による遺伝子破壊が確認されている9系統(ミュータントパネル)についても栽培生理試験を実施した。 2、イネの防御反応に関わる研究 OsPLDのうちの1種類の遺伝子の発現を抑制した系統は葉身に常にR型の擬似病斑(lesion mimic)の形成が観られ、擬似病斑変異体であることが明らかになった。この系統のカルスと葉身のRNAの発現をオリゴマイクロアレイで解析した結果、Chitinase、RIP2、PBZ1などの過敏感反応(HSR)誘導性遺伝子の発現が大幅に増加していたことから、このPLDがHSRの誘導を負に制御していることが明らかになった。 3、イネの登熟過程に関わる研究 OsPLCのうちの1種類の遺伝子の発現を抑制した系統は、野生株(WT)と同様に生育し、同時期に出穂し開花するが、最終的には種子の半分以上が不稔となることから、登熟初期の胚乳細胞の形成とデンプンの蓄積に重要な役割を果たしていることが示唆された。
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