研究概要 |
光ストレス応答を担うことが示唆されている高等植物に特異的に潜在する共転写因子に関してその機能検定を行うためのセットアップを行った。単体での過剰発現や他遺伝子由来の転写活性化ドメイン、転写抑制ドメインとの融合遺伝子を作成しシロイヌナズナに導入した。これらの形質転換系統を解析することで、この遺伝子産物が転写活性化因子であるか、あるいは転写抑制因子であるのか同定出来る。また、この遺伝子産物の細胞内局在を調べるために、GFPとの融合遺伝子を作成し、これもシロイヌナズナに導入した。得られた形質転換系統の解析は来年度に行う予定である。 また、マイクロアレイ解析を行い、強光応答、乾燥応答、並びに活性酸素に対する応答を解析した。その結果、強光応答を示す遺伝子のなかで過酸化水素の蓄積を引き金として活性化される遺伝子群は、光量に対する応答、経時的な応答ともに特定の特徴を示すものとしてくくれること、また、過酸化水素に依存しない強光応答性遺伝子とは異なる特微をもつことを明らかにした。過酸化水素に依存しない強光応答性遺伝に共通した発現上の特徴があることもわかった。得られた結果は山本ら(Endocytobiosis and Cell Research,15,438,2004)に公表した。強光特異的な応答を示す遺伝子のうち転写制御やシグナル伝達に関わると考えられるものに関して、ノックアウト系統を入手し、強光応答を示すレポーター系統と交配した。レポーター遺伝子を持ちかつノックアウトであるF3あるいはF4世代を調製し、順次強光応答を解析していく予定である。
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