マイクロアレイを利用し強光応答、乾燥応答、並びに活性酸素に対する応答を解析することで、強光特異的に発現制御を受けるグループを同定した。プロモーターデータベースを整備しこのグループのプロモーターにおいて出現頻度が高まっている短いDNA配列を自家製のPer1プログラムを用いて抽出した。これによりかなり多くの強光応答を担うシス配列の候補が得られたが、以下に述べるような条件を用いてさらに絞り込んだ。1)レポーター遺伝子を用いてこれまで詳細な発現解析を行ってきたELIP2プロモーターに存在する配列、2)ELIP2と殆ど同じ発現制御を受けるELIP1にも存在する配列。絞り込んだ配列をELIP2プロモーターにマッピングし、それらの機能が検定出来るように一連のプロモーター欠失シリーズを作出しレポーター遺伝子と結合した後シロイヌナズナに導入し、強光応答性の検定を行った。その結果強光応答を担うシス配列を二種類同定することが出来た。また、別のアプローチによるバイオインフォマティクス解析からシロイヌナズナの転写制御配列の候補を328個同定し(山本ら投稿準備中)、この情報もELIP2プロモーターの解析に利用された。 ルシフェラーゼレポーターの発現を指標に単離された強光応答変異体の生理学的な解析を行い、変異体の分類を行った。In vivoでのクロロフィル蛍光を解析し、過剰な強光応答や恒常的な応答を示す変異体の中には強光処理に強い耐性をもつものと弱い耐性を示すものとがあることが分かった。また、強光応答の弱い変異体のなかには強光耐性が弱まっているものも見つかった。以上のことから期待されるようなシグナル伝達系の変異により強光耐性に変化が生じたものだけでなく、光合成装置自体の変異により強光耐性が弱まり、その結果恒常的な強光応答を示すものもあることが強く示唆された。
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