研究概要 |
昨年に引き続き、YPG液体培地、24℃、振とう培養の標準液体培養条件下におけるクリプトコッカス・ネオフォルマンスの紡錘極体の細胞周期における動態を、電子顕微鏡レベルで明らかにするために、以下の実験を行った。 指数増殖期のクリプトコックス・ネオフォルマンス細胞を急速凍結し、オスミウム・アセトンで凍結置換した後、エポキシ樹脂に包埋し、連続超薄切片を作製した。これまで3,500枚以上の電子顕微鏡写真を撮影し、292個の紡錘極体の電子顕微鏡像を解析した結果、間期の紡錘極体は、核膜の外側に位置し、ダンベル状を呈すること、核分裂の初期に、紡錘極体は膨潤して多くの細胞質微小管と会合すること、分裂中期に、核は娘細胞に移動すること、紡錘極体は、多くの核微小管と会合し、円盤状を呈し、紡錘体極に位置すること、核膜の一部は、この時期に消失すること、分裂後期に、核の半分は母細胞にもどること、分裂終期に、紡錘極体は核膜の外側にもどり、球状を呈すること、紡錘極体の複製は細胞質分裂の比較的すぐあとに起こることが明らかになった。 また、間期の細胞の141個の紡錘極体について、核小体との位置関係を計測した結果、紡錘極体と核小体のなす角度は、121±54度であり、紡錘極体は核小体から離れて位置することが明らかになった。さらに、出芽している94個の細胞について、芽の位置と紡錘極体の位置関係を計測した結果、両者のなす角度は、59±57度であり、出芽は紡錘極体と近い位置からおこることが推測された。
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