研究課題/領域番号 |
16570064
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
藤 義博 九州大学, 大学院・理学研究院, 教授 (60037265)
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研究分担者 |
岡田 二郎 九州大学, 理学研究院, 助手 (10284481)
山脇 兆史 九州大学, 理学研究院, 助手 (80325498)
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キーワード | 昆虫 / 視覚 / 距離感受性 / 複眼 / 単眼 / ハンミョウ / カマキリ / スズメが |
研究概要 |
本研究は動物が対象物までの距離を測る視覚神経機構をニューロンレベルで解明することを目的している。具体的には、カマキリ、ハンミョウの幼虫、スズメガ等の昆虫を対象として、それらの視覚系の構造と機能を調べ、以下の知見を得た。 【ハンミョウの幼虫の距離感受性ニューロン】 ハンミョウの幼虫は近くの対象物にはジャンプする捕獲行動、遠い対象物には逃避行動を示す。この行動の切り替えは1個の単眼でも可能である。研究代表者は単眼視覚系で近くを動く物体と遠くを動く物体の各々に選択的に応答するニューロンを見出した。レンズ系の幾何光学的測定から、近くの対象物と遠くの対象物は網膜上の異なる位置に正焦点像を結び、これが遠近の距離識別に関わる可能性を示した。本研究では遠近のそれぞれの物体に応答する距離感受性ニューロンの形態を調べ、それらが網膜上の異なる部位から入力を受けることを明らかにした。 【ホウジャクガの視覚系】 ホシホウジャクは薄暮時に花の間を高速で飛翔し、静止飛行をしながら花弁に長い吻を差し込み採蜜する。この昆虫の視覚は時間分解能、空間分解能が共に高く、かつ正確な距離を測ることが予測される。しかしながら、ガの複眼は夜行性の重複象眼であり、感度は高いが、分解能は低いとされてきた。近縁種のホウジャクガで、レンズと小網膜のサイズから、高い分解能を説明した報告があるが、本研究の詳細な観察ではレンズと小網膜にそのような特別な工夫はないことが明らかになった。現在、高分解能、高感度、かつ正確な距離測定を可能にする重複象眼のデザインを検討している。 【カマキリの複眼視覚系】 カマキリの餌捕獲は視覚行動であり、複数の距離測定機構が利用されている。しかし、その視覚系の構造に関する報告は少なかった。本研究ではカマキリの視覚系のニューロン構築を詳細に観察した。
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