研究課題
アメフラシ消化管において、中枢神経節内の同定ニューロンによる神経支配機構の研究は多く行われているが、消化管に内在する神経集網の活動や機能は殆ど調べられていない。そこで本研究では消化管の各部位毎に特徴的に分布する神経集網の末梢ニューロン群の活動と機能、その神経回路について研究を行なった。1、細胞内色素注入により、末梢ニューロンの軸索走行を調べた結果、そ嚢に砂嚢までのびる軸索を持つ下向性ニューロン、砂嚢にそ嚢までのびる軸索を持つ上向性ニューロンが存在する事を明らかにした。2、そ嚢、そ嚢と砂嚢の境界の環状神経束、砂嚢の各ニューロン群は同調的バースト活動を示した。highMg^<2+>溶液による砂嚢上の化学シナプス阻害で、同調的バーストの発生頻度と個々のバースト活性が減少した。そ嚢と環状神経束での化学シナプス阻害ではバースト活性の減少のみが起った。これらの事から、同調的活動リズムの起源は砂嚢上のニューロン群にある事を明らかにした。3、この同調的バースト活動が砂嚢の括約的運動を惹き起こしている事、即ち、従来もっぱら筋原性と考えられてきた消化管運動に神経原性のものが含まれている事を明らかにした。4、中枢神経系を除いた消化管のみの標本において、食物が一時的に貯留するそ嚢を微小バルーンにより膨張させると、このバースト活動の発生頻度が上昇し個々のバーストの活性も上昇した。また、砂嚢内壁の咀嚼歯を傾けるとバースト発生頻度の低下と個々のバースト活性の減弱が起こった。消化運動リズムを制御する自己受容反射回路が消化管の末梢ニューロン群内に存在することが示唆された。
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Journal of Experimental Biology (印刷中)
Zoological Science 21・12
ページ: 1314
Comparative Biochemistry and Physiology, B 139B・4
ページ: 774