研究課題/領域番号 |
16570070
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
増田 道夫 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (20091499)
|
研究分担者 |
川口 栄男 九州大学, 大学院・農学研究院, 助教授 (50195054)
|
キーワード | 紅藻 / ミリン科 / トサカノリ属 / 系統分類学 / 形態学 / 分子系統学 / ルビスコ大サブユニット遺伝子(rbcL gene) |
研究概要 |
西アフリカのセネガル産のトサカノリ属の1種の形態学的観察と葉緑体にコードされているrbcL遺伝子の塩基配列を用いて系統解析を行った結果、該種を新種Meristotheca dakarensis Faye et Masudaとして記載した。本種は以下の特徴の組合せによって他の種と区別される:1)不規則に叉状分岐し、厚く肉質で丈夫な偃臥状葉状体をもつ、2)四分胞子嚢始原細胞の基部と親細胞の間に壁孔連絡がある、3)配偶体は雌雄異株、4)造果枝は2-4細胞(3細胞がふつう)で、基部細胞がまれに1細胞の側枝を生じる、5)助細胞複合体が存在する、ならびに6)おびただしい数の突出した嚢果が偃臥状葉状体の背面に(腹面と縁辺には少数)形成される。また、トサカノリ属と形態的に類似しているMeristiella属の再評価を行い、両属の区別に用いられていた以下の3つの形質は、識別形質にはなり得ないことを示した。(1)前者の造果枝と助細胞は少し隆起したネマテシアに形成されるのに対して、後者のそれらは隆起しない部分に形成される-本研究で隆起しない部分から少し隆起した状態を経て突出した嚢果へと連続的に発達していくことが確認された(このような発達過程を経る構造の中間状態をネマテシアと呼ぶのが不適当であることも指摘した)。(2)前者には助細胞複合体が存在しないが、後者にはある-本研究でM.dakarensis、トサカノリやキクトサカにおいても助細胞複合体が存在することを示した。(3)前者の嚢果には刺状突起がないが、後者のそれらにはある-本研究でトサカノリにそのような突起のあることを示した。これに系統解析の結果を加えて、Meristiella属をMeristothecaの異名とし、含まれていた3種をトサカノリ属に移した。
|