| 研究概要 |
カナダの北方林(アスペン林及びロッジポールマツ林)内に尿素を施与した。処理年度には、腐生性の不完全菌Amb!yosporium botrytis,腐生性の子のう菌Ascobolus denudatus, Peziza moravecii, Pseudombrophila petrakiiが,処理後2年間は多量の腐生性の担子菌Coprinus spp.が発生した.処理後3年目には,低頻度ではあるが菌根性の担子菌Hebeloma sp.が発生した.両林のリターを室内培養することによって,腐生菌の子のう菌Peziza sp.及びMycena sp.の発生が追加確認された.
ロッジポールマツ林内の尿素処理後の土壌埋設葉及び土壌埋設材の各種元素濃度の埋設経過に伴う変化を調査した.処理後1-2年目に各種元素の利用効率の顕著な変化が認められたことから,アンモニア菌を含む全微生物群集,とりわけ真菌群集の変化がこの間に生じることが示唆された.
Coprinus spp.の担子胞子の発芽特性を,C. phlyctidosporus complex (目・欧産),C. phlyctidosporus complex(オセアニア産),Coprinus spp.(カナダ産)で比較調査したところ4菌種ともに100mM NH_4Cl水溶液中での発芽に対するpHスペクルは同様のパターンを示した.
以上及び過去の調査結果から,アンモニア菌群集は、腐生菌では、A. botrytis、A. denudatus, P. moravecii, P.petrakii等の汎布種と担子菌のCoprinus spp.のような同位種の固有種から,菌根菌ではHebeloma spp.等のように特定地域に分布する同位種で構成されていると推察した。また.日本では菌根菌発生頻度が高いが,オーストラリア,ニュージーランド,カナダでは菌根菌発生頻度が低いことも明らかになった.
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