研究概要 |
平成16年度8月15日〜9月19日にアメリカ合衆国、平成17年3月10日〜3月20日に中国の主要な博物館、研究所を訪問し、タイプ標本を含む所蔵標本の探索と、計測調査を行った。タイ、フィリピン、ボルネオ、中国産のいくつかのタイプシリーズの調査によって、種内変異や分類鑑別形質についての重要な情報が得られた。残念ながら広西医科大学のT.guangxiensisのタイプ標本は失われていたことが判明した。まず、T.misaminiusの同名とされてきたミンダナオ島とバシラン島産のT.stejnegeriが有効種であることがわかった。さらに、T.bermoreiとその近縁種T.laotus, T.yunnanensisの分類について検討したところ、現在はT.merdmoreiの同名とされてきた雲南省産のT.yunnanensisが有効である可能性が高いことがわかった。残念ながらタイプ標本は失われおり、中国雲南省のタイプ産地からの標本も得られていない。 分子系統の解析結果では、フィリピン、ボルネオ、スラウェシ産とインドシナ半島のT.cocincinensistとT.microlepisが1つのクレイドとなり、それ以外の大陸産がもう一つのクレイドをつくることがわかった。本種が単系統性であるは支持されなかった。また、体の扁平化した3種のうちタイ産の2種がT.berdmoreiに、ベトナム産の1種はT.baviensisに近縁で、別々に進化した可能性が高いことが判明した。この結果については、現在投稿準備中である。
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