研究概要 |
平成17年度研究実施概要 1.Halymenia属種群:1)タイプ種であるH.floresiaをタイプ産地であるスペインで得た。rbcL遺伝子解析の結果、これらの材料はこれまで解析された全ての日本産および東南アジア周辺産材料とも異なる分岐群を形成した。従って、これまで東南アジア周辺で報告されてきた材料は真のH.floresiaとは異なる分類群であることが強く示唆された。2)インドネシアの調査で得たH.durvillei材料の分子系統解析を行った。これによりフィリピン、マレーシア、ベトナム、タイで収集した材料と合わせて、Halymenia durvilleiの大きな形態的可塑性に関する知見を集積し得た。成果を論文としてまとめた(印刷中)。3)インドネシア産Halymeniaの中で、コペンハーゲン大学博物館所蔵のタイプ標本との形態学的比較から、H.porphyraeformisと同定しうる材料を見出した。本材料のrbcL遣伝子解析は、本種が他の膜状種群(H.dilatataあるいはH.maculata)とは異なる独立した分岐群であることを示した。本種の独立性の最終確認のため、現在タイプ産地であるインド、Okha産材料について分子系統解析をおこなっている。 2.Carpopeltis maillardiiチャボキントキ:パリ自然史博物館所蔵の本種のタイプ標本を観察し、外部形態、栄養構造に関する知見を集積した。日本産チャボキントキの分類学的位置を特定するため、現在これらの知見を日本産材料と比較検討中である。またベトナム産材料についても形態観察と分子系統解析を実行中である。 3.Yonagunia属種群:本年度ベトナム、インドネシアおよび奄美大島から収集した材料とこれまで収集した東南アジア産および日本産材料のrbcL遺伝子解析の結果から、Y.tenuifolia, Y.formosanaとは異なる新たな分岐群が認められ、第三の種の存在が示唆された。本材料の形態学的知見を目下集積中である。 4.Cryptonemia属種群:本年度は十分な材料が得られなかった。材料の収集を引き続きおこなう必要がある。
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