研究概要 |
平成16年度に引き続き琉球列島各地および小笠原諸島で採集したシラスウオ科魚類について形態学的な比較とミトコンドリアの16S rRNAおよびコントロール領域の塩基配列を基にした分子系統学的な比較を行い、この結果を2005年5月に台北で開催された第7回Indo-Pacific Fish Conferenceにおいて以下の2題の研究発表を行った。 Yoshino. T. & T. Kon. Reexamination of the syntype series of two Schindleria species described by Schindler deposited at the Naturhistorishes Museum, Wien (Perciformes : Gobioidei : Schindleriidae). 7th Indo-Pacific Fish Conference, Taipei, Taiwan, 16-20 May 2005. Kon, T., M. Nishida & T. Yoshino. Molecular phylogeny and genetic population structure of the extremely progenetic Schindleria in Japan. 7th Indo-Pacific Fish Conference, Taipei, Taiwan, 16-20 May 2005. この発表では日本近海には21種以上の本科魚類がが分布しており、いずれもハワイ産の既知種とは異なる未記載種であること、琉球列島と小笠原諸島との間では遺伝的に共通するものが極めて少ないなどの点が明確になった。また台湾やフィリピンにおいても各1回採集を試みたが、標本を得ることはできなかった。なお、ハワイ産の標本が少数得られたので遺伝子の解析を行う予定である。 またシラスウオ科魚類9種の核ゲノムサイズをフローサイトメトリー法で測定した結果、種間で3倍以上におよぶ変異が認められた。そのうち最小のものは0.38(C値)で、これまで最小と考えられてきたトラフグとほぼ同じであり、本科魚類は体サイズだけでなく、一部に種ではそのゲノムサイズも脊椎動物で最小クラスであることが明らかになった。この結果については2005年度日本魚類学会年会で以下の発表を行った。 昆 健志・宣野哲夫・西田 睦.極端な幼形成熟魚シラスウオの小さなゲノムサイズ.日本魚類学会 2005年度年会,東北大学,仙台.2005年9月23-24日.
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