1.ボルネオ産Fissidentaceae(ホウオウゴケ科)の未検討種5種について、基準(タイプ)標本の検討を行い、分類形質を明らかにした。 2.アジア産のFissidens pulchellus Mitt.及びその近縁種を詳細に研究し、南インドから近縁の新種F. longtonianus Z. Iwats & Tad. Suzukiを見出した。F. pulchellusからは、葉身細胞が平滑なこと、腹翼に舷がないこと、〓柄が短いこと、胞子が大きいことなどで区別される。この研究結果はイギリスの学術誌Journal of Bryology Vol.27に印刷中である。 3.服部植物研究所所蔵の標本中にスリランカ産の特異なFissidensの1種を見出し、研究の結果、新種と考えられ、詳細を研究中である。また、ベトナムの標本中に北方系の1新種を見出し、詳細を研究中である。 4.北米産のFissidens bushi (Cardot & Ther. ) Cardot & Ther.とアジア産のF. teysmannianus Dozy & Molk.(コホウオウゴケ)との形態の比較を行い、両種は同一種と考えられることがわかった。さらに、分類学的特徴や、生態、分布について詳細な研究を行い、ちかく発表の予定である。 5.世界のFissidens属の種のデータベースを作成中であり、アジア・オセアニア地域の種の入力を行った。日本産のFissidens属のすべての種を含む日本産蘇類のカタログを服部植物研究所報告第96号に発表した。 6.好石灰岩姓のFissidens属の調査を滋賀県の伊吹山で行った。
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