研究概要 |
1.Iwatsuki(2004)によれば,Fissidens(ホウオウゴケ)属は日本産の蘚類中で最大の属であり,46種(+5変種)が記録されている. 2.Fissidens(ホウオウゴケ属)には多くの種が記録され,分類が大変困難な属であり,これまでにいくつかの亜属・節が提案された.研究代表者等は,これまでの分類とは異なり,本属を6亜属,7節に分類することを提唱した.それらには1新亜属,Neoamblyothalliaが含まれる.この論文はHikobia第14巻第5号(2007)に発表する. 3.ハンガリーの植物調査チームがベトナムで採集したFissidens(ホウオウゴケ)属の標本中に1新種を見出し,Fissidens soldanianusとして,Journal of the Hattori Botanical Laboratory, No.100に発表した.本種は外形や生育環境がOctodiceras亜属の種に似るが,研究の結果Serridium亜属に属することがわかった. 4.沖縄本島から見出されたFissidensの1種は,水辺から水中に生育し,水分条件により,形態の変異が大きい.この種の生育する環境と形態との関連を研究し,近く発表の予定である. 5.静岡県浜松市で日本新産のFissidens longisetus(和名なし)を見出し,近く発表の予定である.本種はこれまでネパールの東部とインドの一部のみから記録された種で,日本での発見は植物地理学的に大変重要である. 6.Fissidens guangdongensis(ニセチャイロホウオウゴケ)を宮崎県尾鈴山から見出したが,九州ではじめての記録である.また,本種の胞子体を静岡県で確認した. 7.世界のFissidens(ホウオウゴケ)属のすべての種を含むデータベースへの入力を続けた.
|