研究概要 |
ユビキチン付加酵素(UBE2E2)のbinding partnerとしてクローニングされたRING-fingerタンパク質RNF8がレチノイドX受容体(RXR)と相互作用することを明らかにした。RNF8及びRXRそれぞれの部分欠失変異体を作製して、これらの相互作用に必要な領域を、two-hybrid assayやin vitro結合実験で明らかにした。野生型RNF8は核に局在するが、N末側欠失変異体(ΔN)及びRING構造を破壊した変異体(C403S)は核外に局在した。EGFP-RXRとBFP-RNF8をCOS細胞に同時に導入して、FRET法によってこれらの相互作用を明らかにした。一方、RNF8はRXRの転写活性を高め、この転写活性化にはリガンドは必要ではなかった。また、ΔNやC403Sでは転写活性化作用が認められず、これらのRNF8変異体が核に局在しないことと一致した。また、RNF8のRING構造も転写活性化に必要であり、RING構造を介して他のタンパク質と相互作用することの重要性も示唆された。 さらにスペインのグループとの共同研究で以下のことを明らかにした。ユビキチン付加酵素のUBC13をbaitとしたtwo-hybrid assayを行い、variant E2のUEV、及びRNF8、KIAA00675、CHFR、KF1及びZNRF2のRING-fingerタンパク質をクローニングした。UEVはUBC13とヘテロ2量体を形成し,ユビキチンの通常のLys48(K48)ではなくK63を介してイソペプチド結合を形成することが知られている。一方、野生型ユビキチン(UbWT)、UbK48,63R、UbK29,63R、及びUbK29,48Rを用いてRNF8の自己ユビキチン化の実験、UBC13のdominant-negative変異体(UBC13-C87A)とUbK29,48Rを共発現させた実験から、UBC13によるRNF8のユビキチン化がK63を介したものであり、K48を介したものではないことが明らかとなった。
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