研究課題
ゴルジ体をとりまくタンパク質のネットワークを明らかにし、golginファミリータンパク質がゴルジ体の周りのタンパク質骨格や他の細胞質骨格とクロストークを持ちながら、ゴルジ体の機能と構造の維持に働くしくみを解明することを目的とした。16年度は主にGCP60について解析をおこなった。GCP364結合タンパク質であるGCP60のゴルジ体局在に必要な部位を決定することと結合タンパク質の検索をおこなった。GCP60はC末側半分(373-528)がゴルジ体への局在のためには必須である。変異導入、欠失変異コンストラクトを作成してHeLa細胞に導入、局在化部位を検討した結果、N末の55-101のアミノ酸を欠失させるとゴルジ体局在が観察されなくなった。この部分には93と94アミノ酸にPheが存在しこれがER export signalとしてp24 cargo receptorと結合している可能性が示唆された。実際このPheをAlaに置換した変異GCP60は非常に弱いゴルジ体局在を示した。さらにこの変異体(FF-AA)をC末から473まで欠失させると、ゴルジ局在能を完全に失った。一方、GCP60にはC.eleganceやD.melanogasterからヒトやマウスまで良く保存された512、513、516、517の4個のTyrがある。このTyrをすべてAlaに変換したところFF-AAとYYYY-AAAAの両変異体はゴルジ局在を示さなかった。さらに変異体を用いて詳細に検討した結果、512,513のAlaが関与することが明らかになった。酵母two-hybrid解析の結果このTyrはgiantinとの結合に関与することが示唆された以上の結果からGCP60はERからp24によりゴルジ体に運ばれてそこでgiantinと結合することでゴルジ体局在を示すと考えられる。
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Journal of Biochemistry (Tokyo) 135・2
ページ: 201-216
Gene 327・2
ページ: 161-169