ヒト由来シアリダーゼNeu2について、昨年度までにタンパク質単体および阻害剤化合物の1つであるDANAとの複合体の結晶構造解析に成功し、DANAの有無によってNeu2タンパク質の立体構造は大きく変化しないことを明らかにした。複合体の結晶構造解析の結果から、阻害剤の結合に関わるアミノ酸残基を特定することができ、酵素活性の発現に必要な基質認識機構を推定した。その推定に基づいて、特定のアミノ酸に変異を導入したNeu2を作成し、酵素活性を測定すると共に、阻害剤化合物との複合体の結晶構造解析も行った。さらに、DANA以外の阻害剤化合物についてもそれら複合体の結晶構造解析を行い、これらを合わせて合計12ヶもの複合体の立体構造を決定した。 これらの構造を比較すると共に、得られた立体構造をインフルエンザウィルス由来シアリダーゼとin silicoで比較し、生化学的実験結果と合わせて、どのような阻害剤がどのような機構でヒトおよびインフルエンザ由来酵素の機能を阻害するかを分子レベルで考察した。 以上の実験結果をまとめた論文を執筆中であり、速やかに投稿する予定である。
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