研究概要 |
本研究では、前駆軟骨細胞株ATDC5による多段階軟骨分化モデルを用いて、Long SAGE(Serial Analysis of Gene Expression)法によって、網羅的に遺伝子発現プロファイリングを行ない、軟骨分化段階特異的に発現する遺伝子群の同定と機能解析を行なうことを目指している。本年度は、まず、未分化期(day2)、成熟軟骨細胞期(day21)、肥大化・石灰化軟骨細胞期(day42)のATDC5から抽出したtotal RNAから、3つの異なる分化段階のLong SAGEライブラリーを構築した。次に、それぞれのライブラリーからミニプレップマシーンを用いてプラスミド精製、サイクルシーケンス反応、マグネットビーズによる反応産物の精製、Applied Biosystems,3100 Genetic Analyzerによるハイスループット塩基配列解析を行なった。得られた塩基配列情報に基づいて、ditag抽出、Phredスコア10以上のqualityのtagの選別、抽出を行ない、これまでに、各ライブラリーから5万タグの遺伝子発現情報を得ている。成熟軟骨細胞期から構築したライブラリーにおいては、type II collagen、Aggrecan、PTH/PTHrP receptorなどのマーカー遺伝子のタグが検出されている。一方、肥大化・石灰化軟骨細胞期から構築したライブラリーでは、type X collagen、 Alkaline phsphatasなどのマーカー遺伝子のみならず、progressive ankylosis geneなどの石灰化関連遺伝子のタグも検出されている。現在、これらのライブラリーにおいて、差次的に発現する遺伝子群を同定するために、アノテーションと統計学的処理によるデータ解析を行なっている。
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