研究概要 |
未分化期と成熟軟骨期においては、71Kのデータセットで1,868種類(P<0.05)、成熟軟骨期と肥大化・石灰化期においては、67Kのデータセットで1070種類のtranscripts(p<0,05)が分化段階特異的に発現していることが明らかになっている。これらのtranscriptsには、細胞外基質、転写因子、細胞骨格関連分子、細胞内分子、分泌因子、受容体などが含まれており、その大部分は軟骨分化過程での役割は未知のものであった。本年度は、まず、分化段階特異的に発現している遺伝子を複数選別し、in situ hybridizationによってマウス胚発生過程における発現局在の解析を切片を用いて行った。しかしながら、細胞外基質のように発現レベルが非常に高い遺伝子の発現を検出することは容易であったが、転写因子、分泌因子では発現検出が困難なものが多く含まれていた。そこで、軟骨での発現は、マウス肋軟骨あるはマウス肋軟骨培養細胞から抽出したtotal RNAを用いてその発現を解析することにした。その結果、成熟軟骨期のATDC5での発現している遺伝子のほとんどは、軟骨組織や培養軟骨細胞で発現していることが確認された。また、ATDC5細胞にエレクトロポレーションによって遺伝子を導入し、遺伝子の機能を効率よくスクリーニングする系の確立に成功した。現在、発現ベクターを構築し、遺伝子を導入することによって、軟骨分化に及ぼす影響を検討している。一方、in vivoのスクリーニング系としては、ニワトリ肢芽にRCASベクターをエレクトロポレーションによって直接導入することにより、軟骨形成や血管網を含む周囲組織との相互作用を解析するシステムを確立することに成功した。
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