研究課題/領域番号 |
16570130
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
加藤 剛志 旭川医科大学, 医学部, 助教授 (60194833)
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研究分担者 |
谷口 隆信 旭川医科大学, 医学部, 教授 (60217130)
竹内 昌之 旭川医科大学, 医学部, 助手 (40226999)
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キーワード | 平滑筋ミオシン / コンホメーション変換 / フィラメント形成 / リン酸化依存調節 / 必須軽鎖 / 必須軽鎖の四つのドメイン / キメラ必須軽鎖 / ブタ大動脈平滑筋 |
研究概要 |
昨年度の研究により、脊椎動物平滑筋ミオシンの脱リン酸化状態での10Sコンホメーション形成およびこれにともなうミオシンフィラメントの脱重合には必須軽鎖の第2ドメインが重要なはたらきをすることを明らかにした。 本年度は、必須軽鎖第2ドメイン中の機能領域をさらに限定するためにニワトリ砂のう平滑筋ミオシン必須軽鎖の残基43-46、残基56-58、残基72-78をホタテ貝必須軽鎖の配列に置換した三種の変異体必須軽鎖を調製し、昨年度同様、ニワトリ砂のう平滑筋ミオシンから調製した調節軽鎖およびブタ大動脈平滑筋ミオシンから調製した重鎖とからミオシンを再構成した。これらのミオシンはいずれも、ネイティブブタ大動脈平滑筋ミオシンと同様、重鎖:調節軽鎖:必須軽鎖のモル比は1:1:1、且つネイティブブタ大動脈平滑筋ミオシンと同程度のNH_4^+/EDTA-ATPase活性を示し、再構成ミオシンではキメラ必須軽鎖、調節軽鎖、重鎖は化学量論的に再構成されたことが確認された(軽鎖の欠けた平滑筋ミオシンのNH_4^+/EDTA-ATPase活性は低い)。そこで、これらのキメラ必須軽鎖導入平滑筋ミオシンについて、脱リン酸化、リン酸化状態でのコンホメーションとフィラメント形成を調べた。 必須軽鎖第2ドメインの配列のうち、残基43-46と残基56-58の置換は脊椎動物平滑筋ミオシンの脱リン酸化状態での10Sコンホメーション形成に影響を与えなかった。一方、残基72-78の置換は同ミオシンの10Sコンホメーション形成を著しく阻害し、必須軽鎖の同領域が10Sコンホメーション形成に重要な役割を果たしていることがわかった。ニワトリ砂のう平滑筋ミオシン分子中における必須軽鎖の残基72-78領域の主鎖・側鎖の配置の検討から、残基72-77領域と必須軽鎖分子内との相互作用、残基78-81領域とミオシン分子内の他のサブユニットとの相互作用のどちらかまたは両方が10Sコンホメーション形成に重要と考えられた。現在、脊椎動物平滑筋ミオシンの10Sコンホメーション形成における必須軽鎖の両領域の寄与を調べるために、残基72-77および残基78-81をホタテ貝の配列に置換した新たな変異体必須軽鎖を調製している。
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