研究概要 |
マウス転写因子および転写関連因子を対象としてタンパク質間相互作用を哺乳動物細胞2ハイブリッド法(M2H)を用いて系統的に調べた。使用した対象cDNA数は約1,700個であり、そのうちの約14%がベイト単独(Gal4融合タンパク質)を用いたプレアッセイで転写活性化を示すことがわかった。通常のタンパク質では2-3%であることを考慮すると非常に高い比率である。タンパク質間相互作用アッセイの結果、約4,000の相互作用を同定した。これは720の組み合わせに1個の相互作用が見つかったことになり、通常の頻度〔数千に1個〕と比較すると高い値を示した。転写因子および転写関連因子を集めてアッセイを行ったため、見つかる相互作用が濃縮されていると考えられる。一般に、2ハイブリッド法によって見出された相互作用には多くの擬陽性が含まれていることが知られている。そこで、昨年度報告した超迅速in vitroアッセイシステムを用いて相互作用の再現性を調べた。文献でもM2Hでも陰性となった相互作用23ペアを陰性サンプルとして、in vitroアッセイで陰性シグナルの平均+2標準偏差を超えるものを陽性と判定した。M2Hで陽性を示し、かつ既に個々の文献で知られている相互作用についてこのアッセイを行ったところ90%以上が陽性と判定された。そこでM2H陽性、かつ文献に報告が無い相互作用について調べてみた。In vitroアッセイの陽性率はM2Hのルシフェラーゼレポーター活性の強さと比例関係にあり、レポーター活性が6倍以上のとき、in vitroアッセイ陽性率は60数%の値を示した。得られたデータにはまだ擬陽性は含まれているものの、真の相互作用を濃縮することができた。
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