研究概要 |
1.Atg1結合タンパク質であるAtg17タンパクの生化学的解析を行った。その結果、Atg1-Atg17結合は、細胞の栄養状態により制御されていることが分かった。さらに、その結合は他のAtg1結合タンパク質Atg13依存的であること、Atg1-13-17複合体の形成が、Atg1プロテインキナーゼ活性の上昇とそれに伴う自食作用の誘導に必須であることが分かった。 2.米国Klionskyらのグループによる、Atg1のプロテインキナーゼ活性が自食作用には不要であるとの報告を受け、我々もその追試を詳細に行った。その結果、プロテインキナーゼを阻害するNAPP1を投与した細胞では、自食作用の誘導が阻害されることが分かり、彼らの発表したデータは再現できなかった。以上の2つの結果を合わせて、Atg1複合体の形成とAtg1プロテインキナーゼ活性化が自食作用に必要であると結論づけた(論文印刷中)。 3.さまざまなリコンビナントAtgタンパク質を精製し、それらがAtg1の基質になるか、Atg1 in vitro assay系に導入した。数種類のAtgタンパクがAtg1により効率よくリン酸化されることが分かった。 4.自食作用にかかわる新規タンパク質が、immunoblotによりリン酸化されることを見出した。そのリン酸化はATG1,13,17依存的であった。さらにリコンビナントのタンパク質を大腸菌より発現・精製し、それを上と同様、Atg1によるin vitroリン酸化アッセイを行った。その結果、このタンパク質は、Atg1により顕著にリン酸化されることが分かり、Atg1の基質である可能性が高まった。
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