アントシアニン蓄積に影響を与える遺伝子ANL2には、アミノ酸配列の非常によく似たホモログ遺伝子At3g6150(A2H)がある。このA2H遺伝子の挿入変異体を単離し、その性質を調べたところ若干花成が早い傾向が見られた。ANL2の過剰発現体が花成を遅らせることが知られており、ANL2やA2Hが花成誘導に何らかの機能を持っている可能性が考えられるため、それらを調べるために以下の実験をおこなった。 花成がおくれる変異体fca、flc、fve、fwa、co、ft、等においてANL2とA2Hの発現を半定量的RT-PCR法で調べたが、現在のところ野生型と各変異体間で発現に顕著な差は見られていない。また、anl2変異体およびa2h変異体において、FLC、SOCI、FCA、FVEの発現を調べた。FCAの発現がa2h変異体で若干減少していたが、他の遺伝子の発現に顕著な差は見られなかった。種々花成遅延変異体との二重変異体を作成したが、バックグラウンドの異なる植物体間での交配ではあまり顕著な結果は得られなかったため、a2h変異体とLer株との交配を4回繰返しLweにanl2変異を移入した。この植物を用いて二重変異体の作成や諸性質の比較をおこなう予定である。さらに、ANL2およびA2H遺伝子のプロモーター領域をGUSにつなぎ、発現を調べた。プロモーター領域のみでは適切な発現が見られなかったため、遺伝子下流部分も加えたコンストラクトを作成し発現を調べたところ、ANL2は茎頂部分と根端部分で顕著な発現が見られた。A2Hも同様の発現パターンが見られたが、さらに種々コンストラクトを作成し調べている。
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