前々年度および前年度に引き続き、アフリカツメガエル卵細胞をモデル実験系とする受精成立のシグナル伝達機構に関する研究および研究成果の発表を行なった。今年度の主な達成事項は以下の通りである。 1)論文発表:卵細胞膜マイクロドメインに存在する精子プロテアーゼ受容体UROPLAKIN IIIを中心とするタンパク質複合体の機能解析を行ない、テトラスパニン型結合パートナーであるUROPLAKIN Ibとの相互作用による細胞膜マイクロドメインヘの局在、ガングリオシドGM1との特異的な相互作用、受精に伴い活性化するチロシンキナーゼxSrcに対する負の活性制御機構への関与を明らかにした(Genes Cells in press)。また、招待執筆によりアフリカツメガエル卵の受精成立のシグナル伝達に関する知見をまとめた総説論文をコロラド大学のStith教授との共同で発表した(Semin. Cell Dev. Biol. 2006)。直接本研究課題とは関係はないが、本研究者が主体的に進めたヒト膀胱癌細胞5637株の研究において、xSrcのヒトホモログであるc-Srcが5637細胞の血清飢餓抵抗性の増殖能に必須の働きをしていることを見いだした(J. Cell Sci. 2006)。 2)その他の研究成果の発表、研究会・セミナーの開催、学会賞の受賞など:IUBMB国際会議におけるポスター発表(京都、2006年6月)、ゴードン研究会議「Mammalian Gametogenesis and Embryogenesis」、(アメリカ合衆国、2006年6月)、および日本分子生物学会フォーラム(名古屋、2006年12月)におけるポスター発表。第2回生殖研究会の開催(他2名との共同、下田、2006年8月)。日本動物学会大会シンポジウム「両生類を用いた初期発生研究の進展」における招待講演、および日本動物学会奨励賞の受賞(松江、2006年9月)。学外講師1名を招いての学術講演会の開催(神戸大学、2006年9月)。国際シンポジウム「Developmental Biotechnology」(韓国、2006年10月)および国際シンポジウム「Cell Signaling in Gamete Activation - from Basic Research to ART -」における招待講演。
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